呼びかけ人意見陳述 関耕平

10月2日(金)、請求代表者のうち3名が、松江市議会本会議場にて住民投票条例請求についての意見陳述をさせていただきました。

意見陳述 関耕平

 今回の条例制定請求の代表者として意見を述べさせていただきます。初めにわたくし、関、続いて長谷川、片岡の順にお話しさせていただきます。条例案全体の趣旨などについては片岡よりお話しますので、私からは、この間の市行政、市長、議会議員の皆様と議論を深めてきたいくつかの論点について申し述べることを通じて、条例制定の必要性をお話しできればと思います。

 なお、議事録では私の氏名が請求者名、戸籍上の記載と一致させるということになるようですが、私は旧姓で通称名を使用しております。そのさいは関耕平と名乗っております。島根大学の教員をしております、よろしくお願いします。

 一番初めに、15000筆を超える署名を寄せていただいた市民の方々、署名集めに奔走された方々、署名のカウントやその他直接請求手続きについて丁寧に対応いただいた選挙管理委員会の皆様、議会審議に向けて対応いただいた議会事務局の方々、真摯な議会審議を尽くすべく努力いただいている議員の皆さま、迅速に審議手続きを進めてくださった市長はじめ松江市職員の皆様に、心から感謝申し上げます。

今回は、松江市政史上初の住民による条例制定の直接請求です。このことを未来のよりよい松江市政へつなげていくことを、党派や立場を超えて、何よりも優先に考えたいと思いますし、市長・市職員はもとより議員の皆様にはそのために熟慮・熟議を尽くしていただきたいと思います。

まず私たちの会の名称にご注目ください。「松江市民のための新庁舎を求める会」です。建設に反対する会でも移転を求める会でもありません。「松江市民のための新庁舎を求める会」です。

繰り返し繰り返し、この後の意見陳述でも出てくるのですが、重要なポイントは、私たちの主張は白紙撤回でも建設中止でもなく、12月着工の予定を先伸ばししてでも、新庁舎建設に対する市民の納得と合意を得るべく、さらに時間をかけて努力を重ねる必要はないのでしょうか?という問題提起です。

 市長は「これまでも手順を踏んで広報や報道発表を行い、周知に努めてきた」との認識を示しています。果たしてそうでしょうか。こちらに市の広報の掲載を抜き出しました。手元資料にもあります。昨年12月を例外として小さな扱いであることは一目瞭然です。予算の説明の中に数行組み入れられていることもありますし、ページの一番下に書かれているのも含められています。私はこれで十分だとは思えません。

 確かに市長の言うように、また議員のみなさんが自負されるように、議会への説明と議論、特別委員会での数々の議論を積み重ねてきたこと、パブコメや市民が参加する委員会での議論を行って、手順を踏んで来たということは認めます。大きな瑕疵があるとまでは言えないと私は思います。

 しかし、「手順を踏んで周知に努めてきた」ことと、市民にその情報がいきわたって納得と合意形成が獲得できていることとは別の問題です。繰り返します。「手順を踏んで周知に努めてきた」ことと、市民にその情報がいきわたって納得と合意形成が獲得できていることとは別の問題です。したがって、少なくとも市民の納得と合意形成が得られているのかどうかについての検証が必要ではないでしょうか。私たちが提出する条例案の狙いの一つとして、この市民の意識についての検証という意味も込められているのです。私たちは周知や議論の深まりを期待できるため住民投票を実施すべきと思いますが、少なくとも市として独自のアンケート調査をするなどして、こうした住民の納得と合意形成の状況についての検証をすべきではないでしょうか。

広報が足りなかったのではないか、という疑問はありますが、あえて言うならば、決定プロセスに問題があったかなかったかの論点以上に、現状は市民の納得や合意形成に対する配慮がもっと必要なのではないか、そうした配慮を確保のためには12月着工は難しいのではないか。この点について、熟慮・熟議をお願いしたいと思います。

市長は私たちの活動にたいして、「自分の耳に入っていないからといって新庁舎建設延期を求めるのは乱暴だ」と述べたと報じられています。乱暴という言葉にショックを受けました。乱暴をうちの息子が辞書で調べてくれました。すると、「暴れること」と書いていました。私たちは暴れていません。市長や議員が依拠している地方自治法に基づいて、より良い行政を求める当然の権利行使を行っている、という認識に立っています。発言の撤回を求めます。

恥を告白しますが、私は市長の言うとおり、新庁舎建設について最近まで知りませんでした。市長が言うように、私の耳に入っていなかったのは事実です。ふだんは財政学を教える立場として、学生に納税者として政治に関心を持てと説教をしている立場からしたら、本当に恥ずかしい。声を出すタイミングが遅い、という批判はまさにその通りだと思いますし、甘んじてそれを受けねばなりません。

 しかし、このタイミングで私を含めて市民の皆さんが建設問題に敏感になっている背景には、コロナ禍による今後の地域経済や財政への不安という事情があることは理解いただきたいと思います。財政の見通しがきかないなかで本当にこのまま進めてよいのかという不安と疑問です。

これにたいして市の広報では、「健全な財政運営は今も続いています」と回答しています。この回答は驚きです。今年3月策定の「第3次松江市行財政改革大綱」では「引き続き厳しい財政状況が続くことが予想される」と言っていますが、これは矛盾していませんか。どちらが本当なのでしょうか。

 確かに市が言うように、市庁舎建設の財源をそのまま右から左へとコロナ対応に回せないことは事実です。しかし、規模縮小や時期見直しによって松江市財政の見通しは変わってきます。躊躇なくコロナ対応ができるかできないか、これにたいする影響が全くないとは言えません。

 さらに市の広報には、「中期財政見通しでもしっかり見込んでいますので、将来の財政運営の健全性に支障をきたすことはないと考えています」と書かれています。しかし、これは昨年10月に策定した「見通し」であり、コロナ以前のものです。総務省の予算編成の報道によれば年度当初の見込みから、地方税は3.6兆円の減少、地方交付税も4000億円の減少が見込まれています。少なくともこれからまもなく出されるであろう市の「中期財政見通し」の最新版に依拠して判断する必要はないのでしょうか。

公適債の適用期限の問題も大きい論点でしょう。今年度中に着工することで30億円以上の交付税措置が受けられるという点です。地方交付税の圧縮の中で先行きは不透明とはいえ、市財政としては大きな問題なのは理解します。しかし市民の納得を得られないまま進めてしまうことの損失の大きさも考慮いただきたいと思います。また、公適債の適用期限の延期を関係機関へ働きかけることはしたのでしょうか。まだであれば、ぜひそこも追及いただきたいと思います。

 コロナ禍だからこそ景気回復のために建設事業をという声もあり、市もそれを掲げています。しかし、大規模な工事であればあるほど、域外の企業へ経済効果が流出しがちであることは常識です。さらに、雇用効果や経済波及効果は建設事業よりも、医療・福祉、中小企業や第一次産業といった生業への直接支援のほうが高いともいわれています。コロナ禍で苦境に陥っている地域経済全体に目を向けてほしいと思います。

私たちの意見だけが正しいという独善的なことは申し上げるつもりありません。当然、現行案を支持し、早く着工ほしいという松江市民もいるでしょう。私たちが求める住民投票ではそうした市民の方にもぜひ投票いただきたいし、一緒になって議論を深めたいと考えています。またそうした賛成する市民が投票する選択肢も提示したつもりです。

市長による条例案への意見にもある通り、私たちが提示した選択肢では必ずしも住民の方が選びやすくない、意見表明しづらいような選択肢になっているという問題点もあると思います。そこは私たちも現状の選択肢にこだわりません。市民の納得と合意形成の現状を検証できるような選択肢に変えていただく知恵を、議会と市長とが出し合って改定することを歓迎します。

市長は私たちの面会のお願いに対し「署名関係の手続きが進んでいる現在の段階においてお会いすることは適切ではない」と回答しています。また市議会議員の方からも一部、ちゃぶ台返しをされた、自分たちの議論の積み重ねをないがしろにするものだ、という反発があることも重々理解しています。

しかし、私たちは、地方自治法に定められた「直接請求権」を行使するという形で民意を表明しましました。刑事事件や民事事件の「原告」と「被告」と同じような立場ととらえてはいけないと思います。私自身、いろいろ批判めいたこともたくさん申し述べましたが、最終的には、地方自治法に基づいて市民の意向を反映してより良い行政の在り方を追求するという点で、市長や市議会議員のみなさんとは究極的には同じ立場だと考えています。

市長が言うように「白紙は考えられない」としても、せめて説明を尽くすための中断・延期はできないのでしょうか。投票条例でも白紙撤回などはうたっておらず、「事業を中断し、」と表現している通り、私たちが「中断」の上で強く求めているのは何よりも、「市民との対話・討論」なのです。

熟議を尽くし、市民の意向を反映していく市政をより高い水準で実現したいと考えています。私たちのようないったん立ち止まることを求めている市民だけではなく、新庁舎の早期着工を願う市民も一緒になってそういった市政を作っていければと思います。その第一歩としてこの住民投票条例が可決されること願っています。ご審議のほど、よろしくお願いします。

呼びかけ人意見陳述 関耕平” への2件のフィードバック

  1. 素晴らしい論説(演説)です。
    7年かかる現計画に今一度立ち止まり、市民の合意形成をすることは未来の市政として大切なことだと思います。
    支援しますので協力させて下さい。

    • 仲田達哉様、コメントありがとうございます。

      精一杯の意見陳述をしましたが、議員の皆様に響いているかどうかは不明です。
      9日の審議、市民のみなさんが、議員一人一人をしっかり見つめていただきたいと思います。

      そして、感じたことを行動にうつしていただきたいです。

      私たちの松江市で起きていることを、市民の皆さんの目をしっかりと向けていただきたいです。

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